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万人の知恵CHANNEL【第10回】倫理経営を考える_なぜ坂本憲彦は事業を辞めたのか? 〜志が先にあるかどうかが鍵〜

インタビュアー:万代宝書房代表 釣部 人裕氏
ゲスト:(一社)立志財団理事長 坂本憲彦氏

収録:2019年9月6日

釣部:はい。皆さんこんにちは。万代宝書房『万人の知恵』、今日は「倫理経営を考える」第一回目の放送になります。メインゲストには、立志財団の理事長、坂本憲彦さんに来ていただいています。よろしくお願いいたします。

坂本:はい。よろしくお願いします。

釣部:あと、ゲストの方、多数来ていただいております。ありがとうございます。今回から、このシリーズを坂本さんと一緒にやることになりました。毎月第一金曜日、16時半からの収録です。

釣部:第一金曜日に、ここで、学ぶということになりました。坂本さんと、僕の共通点は、豊島区倫理法人会というところで一緒に役員をやっているということです。このコーナーは、経営という部分で、われわれは、「倫理経営※1」という風に言っているのですけど、「守ればうまくいく生活の筋道」に則った会社経営をしていこうということについて、坂本さんと一緒に考えられればと思っております。じゃあ、坂本さん、ちょっと短い自己紹介をお願いしたいと思います。

坂本:はい。皆さん、こんにちは。立志財団の坂本と申します。私の方はですね、専門が起業家教育ということで、これから起業したい方向けのセミナーとか、研修とか、それを中心にお仕事をさせていただいているのですけれども、私のこれまでで、最初に勤めたのが銀行で6年半ほど働きまして、そこで財務とか融資を担当させていただいておりました。会社のお金の部分というのを学ばせていただいて、30歳で独立しまして、それから主に起業塾をメインに扱ったのですけれども、それ以外にも飲食店を営んだりとか、速読講座を開いたりとかですね、あと、貸会議室を営んだりとか、不動産賃貸業を営んだりとか、集客のコンサルティングみたいな感じで行ったりとか、10個ぐらい事業として立ち上げて、会社としても3つぐらい立ち上げさせていただきました。

坂本憲彦

釣部:それは30歳から?

坂本:はい。7年ぐらいで。

釣部:7年ぐらいで10個ぐらいの事業を?

坂本:そうですね。はい。

釣部:じゃあ、会社も3つ作られて?

坂本:はい。

釣部:最初に取り組んだのは何なのですか?

坂本:最初に取り組んだのは、ネット通販を立ち上げまして、そこで不動産投資の教材という物を作りまして、販売したのですね。これが、もともと不動産の経験が、銀行勤めなのであったので、2年半ぐらいで5,000万円ぐらい売れまして。

釣部:えー!

坂本:そこから、それ教えてくれた先生たち、そこは起業塾でして、最初は教わって手掛けていたのですけども、2008年に初めて会社を立ち上げたというのが、起業のきっかけですね。

釣部:ちょっと話が戻りますけど、銀行員を6年されていましたが、普通銀行に入行したら、どこか支店に配属されて、窓口をやって、それから奥の方に行くのですよね?

坂本:そうですね。最初預金を担当して、貸付係を担当して、そこからは営業、いわゆる外回りですね。そこで、僕らの時代は、預金というよりも、投資信託とか、保険とかを売ったりとか…。

釣部:バブルの時ですか?

坂本:僕は2000年に就職なので。

釣部:じゃあ、はじけたあと。

坂本:あとですね。2000年~2006年ぐらいですね。

釣部:それで、貸付部に配属されてから、融資先は色々と会社中心にですか?

坂本:個人もいたのですけれども、まあ会社も、中小企業ですけどね。中小企業さんの融資とか、財務の所を色々見させていただいたという形ですね。

釣部:じゃあ、「お金貸してください」と来るのですか? 企業さんが。

坂本:まあ、そうですね。「貸してください」もあるのですけれど、結構「借りてください」というのも。やはり銀行は、良い所には貸したいので…。ただ、なかなか、良くて借りてくれる所というのも結構数が限られるので…。だから、「借りてください」という営業もすごくしましたね。

釣部:ドラマを見るとノルマがあって、「お前は何億円貸付を取ってこい!」とか、焦げ付かないような所を探してくるのがお仕事だった。

坂本:まさにそうですね。半沢直樹みたいな感じで良い所に貸して、それがだめな所になっていくと、それを回収しないといけないという、そういう業務とかも担当しながらやっていた感じですね。

釣部:6年で辞めた理由は? 差し支えない範囲でいいのですけれど。

坂本:銀行の仕事自体は、嫌じゃなかったのですね。そういうお金の所というのも、自分も興味がありましたし、経営者さんと話せるというのが、すごく楽しかったのです。やはり皆さん創業の物語とかが色々あるのですけど、まあ、30歳まで働いた時に、自分の上司とかを見ていてですね、なんかあんまり楽しそうに仕事していないなと…。

銀行も結構数字を言われるので…。で、結局出世しても、「もっとさらに上の人から言われているだけだ」みたいな感じになっているのを見て、なんか、ずっとこのまま、この銀行でいるというのは、ちょっと違うなと思って、30歳という年齢の節目もあったので、辞めたというのがありますね。

釣部:その時は、ご結婚はされていたのですか?

坂本:いや、その時は独身ですね。

釣部:彼女はまだ?

坂本:彼女も一応いたのですけど、その時の子は別れましたね(笑)。

釣部:奥さんではない?

坂本:奥さんではないですね。

釣部:じゃあ、それで決断をされて辞めて。辞める時に、もう「何をしよう」と決まっていたのですか?

坂本:僕の場合は決まっていなくて、その時、福岡の銀行にいたのですけれど、とりあえず東京へ行こうという、田舎者の発想で東京に出てきたというのが最初のきっかけです。

釣部:資金は、貯めていた?

坂本:いや、全然貯まっていなくて、よく「銀行員あるある」なんですけれど、銀行員ほどお金の管理が雑な人はいないみたいな…。まあ、人によるのですけれど、雑な人も結構多くて、僕もあんまり貯金ができていなくて、退職金で70万円ぐらい貰えたのですけれど、まあそれにプラス…、だから100万円ぐらいですかね、持っていたお金としては。

釣部:じゃあ、とにかく東京に来ようと?

坂本:そうですね。

釣部:先に?

坂本:そうですね。とりあえず辞めて自由になったので、福岡にいた時も、(得意先の)社長さんとかで「若い時に東京にいた」という話をよく聞いたりしていたので、情報は、やはり東京で不動産とかも動いて、そこから福岡の方に流れが来るみたいな感じがほとんどだったので。「東京を一回ちゃんと見ておきたいな」と思って、とりあえず東京に行こうと思ったという感じですね。

釣部:でも、家賃で結構お金消えちゃいますよね?

坂本:そうですね。だから、最初はゲストハウスといって、シェアハウスみたいな所ですね、そこに住んで、もう本当に独身寮みたいな、お風呂もトイレも共同みたいな所だったのですけど、やっていたという感じですね。

釣部:そこで何をしようかなと。そこから考えた訳ですか?

坂本:そうですね。最初は転職をしようと思っていたのですよ、僕。「起業したいな」というのは、何か、ずっと思っていたのですけど、いきなり起業とかはできると思っていなかったので、「じゃあ、まず転職だな」と思って、いくつか受けたのですけど。

たぶん十何社を受けたのですけど、結局全部落されまして、今はね、就職がすごく求人の方が多いという時代ですけど、僕らがやっていた時代というのが、就職氷河期という、2000年代がそうですね。2006年の僕が辞めたころも、やはり転職も結構まだまだ、市場としては厳しいという世代で、ですので、転職はうまくいかなかったという感じですね。

釣部:その中で、なぜ不動産の教材? 投資ですよね。

坂本:そうですね。で、転職できなくて、たまたま知り合いから、「なんか起業塾があるよ」と誘われて、入ったというのが起業のきっかけなのですね、最初。そこで、そういうネット通販のやり方を教えて貰って、「何を売ろうかな?自分の中で何が良いかな?」と思った時に、その不動産投資は僕結構好きだったのですね。

そのころ勉強していたのもあったりとか、あとまあ、小さいのですけど、アパートを持っていたりとかもしていたので、じゃあ、これを人に教えたら面白いんじゃないかと思って、ちょっと周りの人に聞いてみたのですね、色々。そうしたら、「知りたい」という人が結構いらっしゃったので、じゃあ、これのちょっとマニュアルみたいなのを作って、販売してみたら面白いじゃないかといって、販売しだしたのがきっかけですね。

釣部:全然わからないから聞くのですけど、不動産投資というのは、「土地転がし※2」とかそういうのではなくて、例えば、銀行ローンで借りてマンション1室買って、家賃を貰いながらで、何年間かで償還して、そのあとは全部利益とか?

坂本:そうですね。僕が薦めていたのは、アパート1棟とか、マンション1棟の、まあ1棟物の投資を薦めていたのですけれども。銀行の時にそれを業務でやっていたのですね。

釣部:はい。

坂本:銀行は、そういうアパートとか、マンションの融資をつけたいので…。地方の銀行だと、なかなか事業の融資ってそんなに大きいのが動く訳じゃないので、そういう不動産の投資だと1億~2億ぐらいですけど、動いたりするので、なので、そういうのを銀行員時代にも、いろんな物件をあたったり、不動産業者さんと提携したりとかというのをやっていたので、そのノウハウをお伝えすると面白いかなと思って始めたという感じですね。

釣部:ちなみに教材はおいくらで売られていたのですか?

坂本:教材は3万円と5万円ぐらいの物が2つですね。

釣部:5,000万円なら結構ですよね?

坂本:そうですね。2年半ぐらいかかってはいるのですけれど、ホームページ、あとメルマガとか書いたりとかして、それでコツコツと宣伝したりとか、ブログを立ち上げたりとかして販売していたという形ですね。

釣部:あと、飲食と英語?

坂本:はい。

釣部:飲食はまた…。

坂本:飲食は、起業して結構経ってからなのですけれど、ある程度事業としてやりだして、これ「起業家あるある」みたいな感じなのですけれど、ある程度一つの事業でうまくいきだすと、みんな色々なことをやりたがるのですよね。

それで、自分に経営の才能があると思って色々なことに手を出すではないですけど、多角化という名の色々なことに手を出すという形になって…。

その時に、家庭の事情もちょっとあったのですね。僕の妻のお兄さんが、ちょっと仕事がないという状態になって、うちに相談に来られていて、「じゃあ、うちで何か援助できないか?」というところで、ちょうど僕の知り合いから、メロンパン屋さんのフランチャイズの話を貰っていたので、「これをお兄さんにやって貰えば良いじゃないか?」ということで、資金を出して、お兄さんに店長をやって貰って、始めたというのが最初のきっかけですね。

釣部:それは何千万円か出して、フランチャイズ料払って、出店から店(の運営)から指導して貰って?

坂本:…という感じですね。出資としては、数百万ぐらいの出資で済んだので、そんなに初期費用はかからないフランチャイズのモデルだったのですけれど、そうですね、そういう指導受けながらやったという感じですね。

釣部:それのオーナーという形ですね?

坂本:そうですね。

釣部:で、お兄さまが店長?

坂本:店長という形ですね。

釣部:それはまあまあ成功? ぼちぼち?

坂本:これも、また色々ありまして…。結局結論ですと、4年、5年ぐらい続いたのかな? 店を閉めたのですけれど。最初は良かったのですけど、やはりそこのフランチャイズのビジネスモデル、メロンパンというのが、どうしても「晴れの日の食べ物」というか、常食じゃないので、最初はバーっと人気が出るのですけれど、そのあと1年ぐらい経つと、だんだんお客さんが減ってきてという形…。

頑張っていたのですけれども、お兄さんも結構頑張ってくれていたのですけれども、結果的には、もう店を閉めるという形になってしまった感じですね。

メロンパンのイメージ

釣部:英会話までどうして? 全然違う内容ですよね。

坂本:英語も、やり出したのは、ある程度、起業して7~8年経ってからぐらいかな。僕がやっていたメインの事業が、一回手放す、離れないといけないっていう事があった時に、「新規事業作らないといけないな」という風になったのですね。

「何をしようか?」と色々考えていたのですけれど、その時に、オンラインの講座なのですけど、速読の講座というのをやっていまして、これを軸に多角化しようと考えて、その当時はオンラインの講座とかを作る人も技術もあったので、じゃあ、「これをほかに転用できないか?」と考えた時に、「じゃあ、英語が面白いじゃないか?」と…。

英会話は市場が大きいので、じゃあ、「それやってみよう!」という形で、英語の先生を呼んできて、英語のオンラインの講座を立ち上げたという形ですね。

自分の志か、マーケットの求める物か?

釣部:なんか、お話を聞いていると、僕は個人事業からスタートしているので、「新規事業を立ち上げたい、何かないかな?」という発想ってあまりなくて、「自分はこれしかできない」とか、「これをやりたい」、「それをどのようにマーケットに広げていくか」という考え方をするのですね。やはりそういう方も(立志塾には)いらっしゃいますよね?

坂本:もちろんそうですね。事業って考え方2つあると思うのですけど、「自分が、広げたいものがあって、それを広げる」というやり方と、あと、「市場がどういうもの求めているかというのから考えてするやり方」、両方あるなとは思います。これは、どちらが合っているかは、人によって違ってくるのかなというのはありますね。

釣部:本当、個人差ですかね?

坂本:そうですね。その人の持っている特性というか、性質というか、素質というか、そういうところですかね。

釣部:じゃあ、倫理経営※1という観点から考えると、要は「経営が先にある」というのはね、「マーケットがあって」という考え方で、「やりたいことがあって、どうやってマーケットと結びつけるか」というのは、逆に「志が先にある」けれども、マーケットと合致しないという悩みかなという気がするのですよね。

坂本:そうですね。僕もそうやって事業を色々やってきて、結果感じたのが、さっきの英語の事業も結局1年ぐらいで辞めたのですよ。そこは、なぜ辞めたかというと、最初、オンラインの講座をリリースして、ちょっと売れたのですけれど、その後、なかなか売上が伸びなかったのです。根本の理由を探っていくと、僕がそもそも「英語に全く興味がない」という原因があったのですね。

その英語事業は完全に「お金が目的」で作った事業だったので、僕もそこに対して思い入れがないし、僕はどちらかというと、英語は人生で捨てている方なので、だから、中心になる人が情熱持ってない事業って、結局続かないなというところですよね。そういう事を色々経験して、僕も事業って、おっしゃったように自分が本当に広めたい、究極形を言うと、「これに命を賭けてでも広げていきたいか?」と思うものじゃないと、うまくいかないなというのは、すごく実感しましたね。

釣部:じゃあ、入口はどちらでも構わないけれども、でも、逆に僕の友達は「志はあるけど儲からない」とか、「釣部さん、どうやったら儲かる?」とか、「もうちょっと広げたいのだけど」というご相談を貰う場合が多いのですね。

そうじゃない人は、僕に聞いても答えがないから、聞かないのですけど。結局結論から言うと、どちらから上がろうが、「マーケット」というものと、「志」、自分が興味を持てる、本当、究極、命を賭けたいような物が合致しない限り、うまくいかないというのが、現時点の坂本さんの結論ということですかね?

坂本:そうですね。それをどちらから作っていくかというのは、人によって違うし、経験とか状況によっても違ってくると思うのですけれど、ただ、本当に事業として長く、5年・10年・20年・30年と伸びていかれる企業というのは、そこ(マーケットと志)が合致しているという事は、すごく大きい要素かなと思いますね。

釣部:坂本さんは両方の経験がある訳ですよね? とにかく経営でお金儲けというところでやったけど結局…。

坂本:駄目だったという…。

釣部:熱意がない、駄目という事で…。今はその両方(マーケットと志)をどちらから攻めてこられてもサポートができる体制になっているということですよね。

坂本:そうですね。

釣部:はい。わかりました。一本目時間になりましたので、これで終わって、また二本目でさらに詳しく聞きたいと思います。じゃあ、一本目どうもありがとうございました。

坂本:はい。ありがとうございました。

釣部:皆さん、ありがとうございました。

※1倫理経営とは【経】容易には変えない、動かないタテ軸を求め、それに根ざすこと。タテ軸とは「道」とか「理」、すなわち時代が変化しても変わらない原理・原則、あるいは経営の理念や基本方針を指す。迷って方向を失った時に戻るべき、経営の原点でもある
【営】現実の状況に対して、どのようにしたら事業や物事がうまくいくのかの方策を考え実行すること。つまり、テクニックとか技術・技法は「営」に属する。

※2 土地転がしとは土地を安いときに買って,高くなってから売却する行為。

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